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【オリジナルの根管形態が破壊されているとまずい】Gorniらの論文
前回は抜髄根管での成功率を見て行きましたが、次はRetreatment:再根管治療編になります。
抜髄と比較すると成功率が下がることはイメージとしてもあると思いますが、論文的にはどの程度下がるものなのでしょうか。
Initial treatment:抜髄編はこちら
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【根管治療の成功率は?】Initial treatment:抜髄の成功率
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歯根端切除についてはこちら
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【最後の砦】歯根端切除の成功率【外科的歯内療法】
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今回参考にする論文はこれです。
The outcome of endodontic retreatment: a 2-yr follow-upFabio G M Gorni, Massimo M Gagliani, J Endod . 2004 Jan;30(1):1-4
著者のGorni先生はイタリアのサンパオロ大学の歯内療法科の教授をされているみたいですね。
451人の患者さんを2年間追跡し、ドロップアウトは前回の論文と違って26人しか出なかったので計425人の452歯を研究対象にしています。
方向を変えて2枚のレントゲン写真を撮影し、2つのグループに分けています。
グループ① RCMR:root–canal-morphology respected:根管の形態が維持されているグループ
グループ② RCMA:root–canal-morphology altered:以前の治療で根管形態が失われているグループ
さらに、これまた前回の論文と同様に術前の根尖病変の有無も成功率の計算に入ってきます。
ちなみに治療はマイクロを使っていなくて、3.5~5.5倍率のルーペで行なっています。
個人的には再根管治療の際はマイクロの使用が必須だと思っているので、使って欲しかったなー。
気炎物質の不確実な除去だったり、未治療根管の存在により、その症状が生じている可能性が高いので、実際の臨床では、こと再根管治療においてはルーペでは役不足かなと思うことが多いです。
【根管形態の維持と根尖病変がないといい】結果

The outcome of endodontic retreatment: a 2-yr follow-up Fabio G M Gorni, Massimo M Gagliani, J Endod . 2004 Jan;30(1):1-4より作図
上図が結果になります。→のところのサンプルの内訳がおかしいんですけど、原文のままの数字にしています。
考えたら当然の結果なんですけど、病変があるにもかかわらず、根尖までアクセスできない場合は40%の成功率で、病変がなく、アクセスできる場合はほぼほぼ抜髄と同じような結果です。
でも、PCMA+病変ありのグループでも40%は改善傾向に向かうっていうことも重要なことだと思っていて、いかに細菌叢を変化させることが重要かということも読み取れるかと思います。
再根管治療について書かれている文章ではこの論文がよくリファレンスに出されています。
その文脈では根管形態の維持が重要って主旨で書かれているんですけど、結果を見る限り、オリジナルの形態維持に加え、根尖病変の有無っていうのも抜髄の時と同様に重要なんだということがわかります。
根管形態だけで分けたところで成功率を出すと、RCMRが87%、RCMAが47%となるので、ここを切り取って言っている先生が多いです。
根管形態が維持されていなくても、病変がなければ84%と高い成功率になるので、ミスリーディングしないように気をつけないといけません。
【使われている材料が結構古い】解釈上の注意点
この論文ではPCMAのサンプルの方にはトランスポーテーションだけでなく、髄室部分のパーフォレーション、根管内のストリッピング、内部吸収が含まれています。
パーフォレーションやストリッピングの際には、フィブリン接着剤(?)、酸化亜鉛-EBA添加セメント、アマルガムを使用してます。
根管の根尖側3分の1の穿孔は、ガッタパーチャで修復されています。というかそのまま根管充填しています。
、、、そりゃ治らんよね。って話です。
パーフォレーションなどの修復はMTAを用いることで高い成功率が報告されているので、この研究の結果もMTAが使われていたら、もう少し良くなっていたかもしれません。
この流れのMTAの修復の場合の成功率を扱った論文があるとの話を聞いたので、探してみます!!
先ほどの通り、個人的には根管治療の際にマイクロは必須だと感じていて、特にRetreatmentはよりその必要性を感じます。
その辺の影響も数値が悪く出ている要因に入る可能性があります。
【根管形態も、病変の有無もどっちも大事】まとめ
という事で感染根管処置の場合は、全体で見るとやはり抜髄よりも成功率は低くなる傾向にあるみたいです。
ただ、根管形態を維持しており、病変がない場合には抜髄とほぼ同等の治療成績が期待できるとも言えます。
全ての場合でそうかもしれないですけど、患者さんに伝える時、特にPCMA+病変有りの場合には、成功率が半分以下なので、最初から歯根端切除の可能性も含めてコンサルした方が良いと言えるでしょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回は歯根端切除の話です。
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根管治療を受ける際の歯医者さんの選び方も参考にしてください。
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