ありがたいことにちょくちょく、勉強会で発表させていただく機会があります。
最近、以前にこのブログでも紹介したDr.Federico Ferrarisの論文を交えて発表を行ないました。
その翌日、な、な、なんと、ご本人から僕の論文使ってくれてありがとう!的なご連絡を頂きました。
接着修復において知らない人はいない著名な先生からご連絡をいただき、大変にテンションが上がりましたので、彼に感謝の気持ちを込めて、最新の論文を紹介していきます。
【Federico Ferrarisの最新論文】形成の種類によって破壊様相は変わるのか
現在広く用いられるようになってきたオーバーレイによるセラミック修復ですが、その支台歯形成によって、どのような違いが生まれてくるのでしょうか?
この論文ではバットジョイント、フルベベル、ショルダーで形成したオーバレイ修復群、シャンファーによるフルクラウン群、天然歯の5群で比較を行いました。
この支台歯に対してIDSを行い、二ケイ酸リチウムのセレックブロックで製作した修復物を接着し、破壊靭性試験を行いました。
【結果】フルベベルが最も優れるが、クラウンのメリットも
フルベベルが他の群と比較して優位に高い破壊靭性を示し、その他の群は天然歯と同じような破壊の動態を示しました。
さらにその破壊の様態がどのようなものだったかというと以下のような結果になりました。
天然歯を基準として考えると、その動態に最も近かったのがショルダーの形成となり、その半数に歯根まで及ぶ破折が認められました。
注目すべきはフルクラウンの場合で、歯根に至る破折が最も少なく、セラミック、もしくは歯冠の破折が約9割という結果となりました。
【この結果をどう解釈するか】オーバーレイが第一選択
広く知られているように、接着技術を応用したオーバーレイ修復は、咬合負担を想定する上で、天然歯やクラウンと同等以上の動態を示し、臨床応用する上で有用な方法であることがわかりました。
その中で荷重負担が最も優れていたのは歯質の削除量が最も少ないフルベベルによるものでしたが、歯根に至る破折が少なかったのはクラウン形成である点も同時に見逃せません。
歯根破折のような過大な力がかかった時に歯根を保護しているというふうに捉えることもできます。
しかし、オーバーレイ群の歯根破折についても、CEJから2~3mmの位置で起こることが最も多かったとの結果であり、エクストリュージョンを併用することで再修復は可能であると考えられます。
さらに、論文内に記載されていますが、今回破壊が起こったのは人の通常の咬合力よりも遥かに高い値になります。(平均破壊荷重1940~3216Nで、ブラキサーの人の臼歯部で500~800Nと考えられている。)
これらのことから、歯質の保存を第一に考え、オーバーレイを第一選択にし、その中でも削除量の少ないフルベベルで修復することが推奨されると思います。
今回はDr.Federico Ferrarisから突然の連絡をもらい、急遽、彼の論文を紹介させて頂きました。
すでに多くのかたがご存知かと思いますが、もしまだ聞いたことのないという方がいたら、彼の論文をチェックしてみてください。
-
セラミック修復の形成① 【Dr. Federico Ferrarisの論文から】
続きを見る
今日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
Grazie!! Federico