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【新型コロナウイルス】歯科医師のワクチン接種について

歯科医師のワクチン接種

 

医療従事者、高齢者からワクチン接種が始まっています。僕自身も一度目の接種を終え、間も無く2回目の接種を迎えようとしています。

 

ワクチン接種【筋肉注射】ですが僕は全く痛みを感じず、副反応などの有害事象も全くありませんでした。自身の周りの限られたサンプル数ですが、ほぼほぼ接種時の問題はなく、接種後数時間後〜翌日の接種部位軽い痛みが出ているみたいです。

 

2回目の接種を行った同業者の話では、高い頻度で発熱などの症状が出ているようですので、2回目の接種は多少怖いところがあります。

 

今回は、【歯科医師によるワクチン接種】が話題となっているので、その背景や雑感などを記していこうと思います。

 

 

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【圧倒的打ち手不足】歯科医師に接種要請がきた背景

そもそも本来ワクチン接種を行えない歯科医師に対して要請がきた理由ですが、これは明らかな【打ち手の不足】のためです。

 

考えてみれば当たり前のことなのですが、我々を含め、皆通常業務があります。基本的にフルタイムで働いているのです。

 

ワクチン接種と通常診療の両立は現実的に考えて、不可能に近いというのが実態です。

 

今現在のようにコロナの感染者が増加し、医療体制のひっ迫が叫ばれている最中、ワクチンの接種業務を行わないといけないとなると、その最前線にいる医師、看護師などにさらなる負担を強いる形になってしまいます。

 

このままでは経済活動の再開の遅れはより深刻になるし、ワクチン接種の普及率は諸外国と比較し、かなりの遅れをとり続けることになります。

 

そんなことから、打ち手の負担の分散を図る意味で歯科医師に要請がきたという流れです。

 

とにかくワクチンを打てる人材を確保したい今、日常的に注射を行う歯科医師に白羽の矢が立ったのは自然な流れと言えると思います。

 

 

【歯科医師がワクチン接種は違法?】実質的違法性の阻却とは?

基本的にワクチン接種は【医業】に該当すると考えられています。【医業】は医師法第17条にて、”医師でなければ医業をしてはならない”と定められており、今回のケースをそのまま当てはめると、【歯科医師が医業を行う】ということになり、違法行為という解釈をすることもできます。

 

よってワクチン接種に関して以下のような記載がなされています。

現行法上、医師又は医師の指示の下に保健師、助産師、看護師、准看護師が行う必要がある。

 

厚生労働省HP "歯科医師による新型コロナウイルス感染症のワクチン接種のための注射について"

https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000771985.pdfより引用

 

しかし、今回のような事態においては、実質的違法性の阻却というものが適応され、違法性に関しては咎められないという状況になっています。

 

この実質的違法性阻却は以下の条件に当てはまる際に適応されます。

  1. 目的の正当性 :単に行為者の心情・動機を問題にするのではなく、実際に行われる行為が客観的な価値を担っていること
  2. 手段の相当性 :具体的な事情をもとに、「どの程度の行為まで許容されるか」を検討した結果として、手段が相当であること
  3. 法益衡量 :特定の行為による法益侵害と、その行為を行うことにより達成されることとなる法益とを比較した結果、相対的に後者の法益の方が重要であること
  4. 法益侵害の相対的軽微性:当該行為による法益侵害が相対的に軽微であること

必要性・緊急性 :法益侵害の程度に応じた必要性・緊急性が存在すること

 

厚生労働省HP "歯科医師による新型コロナウイルス感染症のワクチン接種のための注射について"

https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000771985.pdfより引用

 

以上より、今回の歯科医師によるコロナワクチンの接種はこれらの条件に当てはまるとされています。

 

今回以前にも同様の違法性の阻却はされており、AEDの医療従事者以外の使用や、介護職員による喀痰吸引などがこれに該当するようです。またコロナに関して以前から行われている、PCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取もこれに該当し、状況によっては歯科医師が行っています。

 

 

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【歯科医師って筋肉注射できるの?】歯科医師が接種するまでの流れ

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歯科医師は要請を受けたからといってすぐに接種することができるわけではありません。

 

要請を受けた歯科医師は歯科医師会に入会していることが必須であり、日本歯科医師会の Eシステム(e-learning)にて、以下の項目の研修を受ける必要があります。

  1. 新型コロナウイルスワクチンに関する基礎知識(副作用に関する内容も含む)
  2. 新型コロナウイルスワクチンの接種に必要な解剖学の基礎知識
  3. 新型コロナウイルスワクチン接種の実際(接種時の注意点を含む)
  4. 新型コロナウイルスワクチンのアナフィラキシーとその対応 等

 

これらの動画を受講後に数問の設問があり、それに正答する事で修了書のようなものが発行されます。

 

その後は各自治体の募集要項に基づき、受講を完了した歯科医師がワクチン接種の業務に係ることができます。

 

なお、接種を受ける方は、歯科医師による接種を拒否する権利を持っており、接種前には歯科医師が打つことに対する同意を得る必要があります。

 

【全国の歯科医師に対する要請状況】5月29日現在の状況

5/29現在、東京都、大阪府を初め、沖縄県、香川県、福島県、鹿児島県、山口県、山梨県、兵庫県、福岡県、神奈川県、愛知県、長野県、広島県(順不同)で歯科医師に対する要請が出ていることが確認されています。

 

各自治体の接種率を鑑みると、そのほかの地域でも要請が拡大されることが予想されます。

 

 

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【歯科医師による接種に関する雑感】一刻も早くワクチンの普及を

一部で歯科医師のワクチン接種に対し、医師会から反対が出ているという報道もなされていますが、個人的には賛成です。

 

まず何よりも優先すべきは接種率の向上です。政府の報告(以下のリンク参照)によると、5月27日時点の報告で、1回目接種率がほとんどの都道府県で5%以下、2回目接種率に至っては和歌山県の1.02%が最高で、それ以外の都道府県では1%未満の接種率となっています。

 

これは諸外国と比較すると、圧倒的に低い接種率であることは明らかです。(諸外国の接種率は以下のNHKのサイトより確認できます。)

 

ここまでの低い接種率になっているボトルネックは冒頭にも述べたとおり、打ち手の不足です。

 

海外ではすでに、医師や看護師だけでなく、普段注射を打たない薬剤師や学生なども接種をする側にまわっている例もあるそうです。その中で医師は打ち手側に回るのではなく、アナフィラキシーなどの緊急対応にあたるような体制が取られています。

 

法律的な問題であったり、安全性を重視する国民性ゆえ、日本でどれほど適応が拡大するかはまだ予測ができませんが、ワクチン自体の確保はできているので、打ち手の確保は最重要課題でしょう。

 

僕のいる金沢では今のところ歯科医師に対する要請は出ていませんが、もし協力できることがあるのであれば、進んで協力していきたいと思います。

 

1日でも早くかつての生活が取り戻せることを切に願っています。

 

 

今日も最後までお読み頂きありがとうございます。

  • この記事を書いた人

Dr.H

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