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【再生療法/根面被覆】トンネルテクニックの変遷

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注意

このブログの内容は客観的事実に基づき執筆しておりますが、特定の医療行為、手技、手法を推奨するものではありません。

残念ながら医療行為に100%の成功はあり得ません。時に患者様の不利益に繋がることもあります。しかしその可能性を極力低くするための努力はできます。

論文などからの知識のアップデート、長期経過からのフィードバックを得て、患者利益の最大化に努めるべきです。その一助としてこのサイトを活用していただければと思います。

なお、全ての臨床写真は患者様の掲載許可をいただいた上で掲載を行なっております。

 

 

 

✔︎ 本記事の信頼性

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【治りにくいところは切らなきゃいい】切開線の変遷

 

最近の再生療法の分野で注目されているのが、乳頭の切開を伴わない手技です。

 

具体的に言うと、

Dr.AslanのEPPT(Entire papilla preservation technique)や、

Dr.MorenoのNIPSA(Non-incised papillae surgical approach)

Dr.ZadehのVISTA(Vestibular Incision Subperiosteal Tunnel Access)(※再生療法にM-VISTAとして応用したのはDr.Najafi)

のことです。

 

垂直性骨欠損に対する歯周組織再生療法において、最も重要なのが乳頭の初期閉鎖になります。

 

その初期閉鎖を達成するために様々な切開線が提案されてきましたが、

 

いや、そもそも乳頭切らなきゃいーじゃん!!

 

ってことで、ケースによっては乳頭を切ることのない、これらの手法が適用されてきています。

乳頭の初期閉鎖率の変遷:Periodontal Regeneration Therapy -The Essence of Microsurgery Part.1 Intrabony Defect F.Yamaguchi the Quintessence Vol.38 No.9/2019-1863より作図

 

そんな中、特に多数歯の退縮においては、このトンネルテクニックを応用した根面被覆を個人的には注目しています。

 

一般的なCAFと比較して、テクスチャーが良いっていうことが言われていたり、術後の偶発症が少ないってことも言われていると思います。

 

個人的な意見としても術後の回復は早いと思うし、テクスチャーもやっぱり綺麗です。

 

ということで、このトンネルテクニックっていうのがどう言う変遷で生まれたのかを見ていきます。

 

始まりは1985年のパウチテクニック?

 

自分が論文を読んだ中でまとめただけなので、正確に歴史を捕らえられているかは疑問なんですが、おそらく大体合っていると思います。

 

トンネル=パウチ×複数歯とも言えると思うので、これが始まりであると考えています。

 

1. Covering Localized Areas of Root Exposure Employing the "Envelope" Technique Peter B. Raetzke*

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エンベロープテクニック: Covering Localized Areas of Root Exposure Employing the "Envelope" Technique Peter B. Raetzke J.Periodontol July 1985 より作図

 

この最初のテクニックはエンベロープテクニックとして紹介されました。

 

手技としては非常に単純で、ただ単にメスでパウチ状にフラップを形成して、その中にCTGを突っ込むというものです。

 

CTGはフラップで覆うことなく、そのまま開放創で終えています。

 

こんなのCTGが壊死して終わりと思ったんですけど、意外と良い結果が出てるんですよね。

 

2. Use of the Supraperiosteal Envelope in Soft Tissue Grafting for Root Coverage. I. Rationale and Technique Andrew L. Allen.

Use of the Supraperiosteal Envelope in Soft Tissue Grafting for Root Coverage. I. Rationale and Technique Andrew L. Allen.The International Jaurnal of Periadantics & Restorative Dentistry Valume 14. Number 3. 1994より作図

 

先ほどのRaetzkeのテクニックは単独歯に対して行われたものですが、ここで初めて複数歯に対して処置が行われ、Tunnelという表記はないんですが、Tunnelっぽいことが行われました。

 

ここでも特に変化はなく、先ほどのエンベロープが複数作られただけで、CTGも相変わらずそのまま覆うことなく位置付けされています。

 

乳頭の部分を触ったりだとかということも特にありません。

 

 

3.Treatment of Multiple Adjacent Gingival Recessions with the Tunnel Subepithelial Connective Tissue Graft: A Clinical Report, Ion Zabalegui The Internotionai Journai of Periodontics & Restorative Dentistry Volume 19, Number 2,1999

イラストは省略させていただきます。

 

この論文とほぼ同じような時期にフランスのRobert Azziって人の論文もあって、その論文もトンネルテクニックを扱った話の際によくリファレンスされるんですけど、本文がフランス語の記載で、流石に読めないので、こちらのZabaleguiの論文を紹介します。

 

ここでようやく今のVISTAとかの原型が見えてくるんですが、一つ前のAllenのテクニックからの大きな違いは

①乳頭直下の剥離も行ったこと。

②CTGをフラップで覆ったこと。

③ケースによっては歯間部をレジンで留めて懸垂縫合をしたこと。

の三つが挙げられます。

 

Zabaleguiの方がイラストで詳しく切開の方法などが記載されていますが、Azziの方がテクニックの新規性を提示しているかなという気がします。

 

Azziの論文は本文はフランス語ですが、臨床写真は英語での解説がありますので、ぜひチェックしてみてください。

 

 

4.Minimally Invasive Treatment of Maxillary Anterior Gingival Recession Defects by Vestibular Incision Subperiosteal Tunnel Access and Platelet-Derived Growth Factor BB. Homayoun H. Zadeh, The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry Volume 31, Number 6, 2011

 

で、ようやくVISTAの登場です。逆にいうと、VISTAからどんどん孫引きしていって調べた結果、このような流れになりました。

 

VISTAのオリジナルはCTGを用いていなくて、血小板由来増殖因子と骨補填剤を使っていることにびっくりしたんですが、一番の特徴は、これまでのトンネルに加えて、上唇小帯の、縦切開を併用したことです。

 

元々、歯肉溝という限られたスペースの中で切開、剥離、CTGの位置付けを行わないといけないという手技的な難しさがあることが問題だったので、それを改善するという目的で縦切開が追加され、オペの自由度が上がりました。

 

 

【後もう少しで終わります。】根面被覆ケース

後半ちょっと尻すぼみになってしまった感があるんですが、自分がやったVISTAの応用の根面被覆を紹介して終わりにします。

 

pre-ope

全体的に退縮が認められます。特に右上の2番は退縮量が大きいです。

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歯肉溝や、上唇小帯などから、基本的には部分層でフラップを形成していきます。所々全層にはなってるかもしれないけど。。。そうするとここまでフラップは伸びてくれます。

CTG

この方は一番欲しい小臼歯〜大臼歯部のCTGが全く取れず、それよりも前方部と、上顎結節部のそれぞれ左右からCTGを持ってきました。術後の痛みや出血がほとんどなかったからよかったものの、侵襲が高い治療になってしまいました。右上2のCTGはこの後にトリミングしています。

after-suture

縫合後の写真。右上2はもう少し歯冠側に位置付けしたかったので、この後に唇面にレジンをやって、懸垂して持ち上げました。

before-after

術前術後。3mほど経過していますが、この位置で安定しています。右上1が破折のため、今後ポンティックシールドを行い、前歯部のブリッジを作成していく予定になっています。

 

ということで簡単ではありますが、症例の紹介をさせていただきました。

 

まだ途中段階なので、経過の報告もさせていただきたいと思います。

 

めちゃくちゃ長くなってしまいましたが、今日も最後までお読みいただきありがとうございました!!!

  • この記事を書いた人

Dr.H

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