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マスク使用率の差と文化的背景にみる日本と世界の口腔に対する意識

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【目は口程に物を言う?】感情表現の日本人とアメリカ人の違い

 

間も無くゴールデンウィークを迎えますが、各地でコロナの影響による緊急事態宣言とか、まん延防止等重点措置が出て、まだまだ普通の生活は先になりそうな雰囲気ですね。

 

今日はある実験とデータからわかる、日本人とアメリカ人の感情の認識に関する違いを見ていきます。

 

豆知識的な話ですね。

 

2020年に公表されたこのデータによると、コロナの流行後、マスクの普及率は徐々に上がっているのですが、世界的に流行している時期にもかかわらず、欧米諸国の普及率はアジアのそれと比較すると、かなり低くなっています。

(ちなみに2021年の調査では着用率が低かった国も80%程度までには上がってきています。)

 

ではなぜ、マスクの普及のスピードにはにはアジア諸国と欧米諸国でこんなにも差が出たのでしょうか。

 

その可能性の一つに文化的な背景があるのかもしれません。

 

その理由の一つとして考えられるのが、日本人と欧米人の表情を読み取る過程が違うのではないか。という仮説です。

 

【今日の論文】”Are the windows to the soul the same in the East and West? Cultural differences in using the eyes and mouth as cues to recognize emotions in Japan and the United States”

 

2007年に北海道大学の結城さん達によって出された、この論文からその仮説を見ていきます。

 

日本人を含むアジア人と欧米人は感情表現とその汲み取り方に違いがあるのか。という論文です。

 

PDFで全文を読めますので気になる方は以下からどうぞ。

 

この研究ではオハイオ州立大学のアメリカ人学生118名(男性33名、女性85名)と、北海道大学の日本人学生95名(男性72名、女性21名)が参加しました。

 

参加者にはemoticonと呼ばれるいわゆる顔文字みたいなものを見せて、それぞれの顔文字がどのように喜んでいるか、または悲しんでいるかを答えるように指示されました。

 

すると、仮説の通り、(^_^)こんなemoticonを見た時に、日本人はより”喜んでいる”と判断した一方、アメリカ人はこれを特に喜んでいるとは判断せず、”普通の顔”と判断しました。

 

こんな実験を色んなemoticonを使ってやったんですが、有意差を持って日本人は目元の表現でその感情を判断し、アメリカ人は口元の表現で感情を判断するという傾向が認められました。

 

また2つ目の研究では画像処理を使って、実際の人間の顔で同様の実験を行ったのですが、ここでも同じような結果となり、日本人は目元で、アメリカ人は口元で感情を判断する傾向があるという結果になりました。

 

【日本人のサングラスとアメリカ人のマスク】

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この実験結果とマスクの普及率を併せて考えると、欧米人(実験ではアメリカ人ですが)は口元を隠すことでコミュニケーションをとりにくくなるためにマスクの着用がなかなか普及しなかったということが考えられます。

 

日本も欧米ほどサングラス文化っていうのが浸透していないことを考えると、元々の目の構造の違いを差し引いても、コミュニケーションがとりにくくなる。ということがその一因にあるかもしれません。

 

先ほどの論文内に記載されていたことなのですが、人は感情を表現する際に、様々な筋肉を動かすのですが、表情筋のうち、口周りはある程度コントロールできるのに対し、目元はコントロールが難しく、真の感情が表現されるということが言われています。

 

作り笑いも、口元は笑ってるけど、目が笑ってないこととかよくありますよね。

 

さらに、日本を含むアジア人は欧米人に比べ、ネガティブな感情も、ポジティブな感情も集団内においては表に出さない。と言う文化背景があります。

 

そんなことからも、アジアの人達は他人の感情を汲み取ろうとする場合に、意図的にコントロールすることが比較的難しい顔の部位に注目することが、コミュニケーションを図る上で効果的である。となり、今回の実験結果につながったとも考えられそうです。

 

 

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欧米人と日本人の口腔内に対する意識の違い。

 

そんなこんなで無理やり歯の話に持っていきます。

 

欧米ではビジネスの場で、歯並びを見られるといった話があります。

 

歯並びが悪いと、だらしないと思われたり、教育水準が低い環境で育てられたため、矯正治療を受けられなかった。と認識されてしまいます。

 

一方日本ではそういったことはなく、前首相の安倍さんでさえもかなりひどい歯並びになっております。

 

今回の論文から考察できることとして、日本人にとって口周りのコミュニケーションが重要視されなかったことが、日本人と欧米人の歯に対する意識の違いを生んだ一つの要因であると考えられます。

 

国際社会はどんどんグローバル化していき、海外の方と接する機会というのも増加の一途を辿ることと思います。

 

歯並びが綺麗であることは、予防の観点からも非常にメリットが多いので、歯並びを気にされている方は、ぜひ矯正治療を視野に入れていただければと思います。

 

見た目が気になるという方も、マスクを日常的に付けなければいけない今は逆にチャンスでもあります。

 

表情から感情を汲み取るに当たって、日本人とアメリカ人でこんなにも違いがあることを初めて知ったし、その結果が妙に納得できる。っていうのが自分の中ではかなり面白くて、とても勉強になった論文でした。

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

  • この記事を書いた人

Dr.H

論文をベースに臨床に役立つ情報を紹介するブログ。一般の患者さんの悩みに答えられるような内容もあげていきます。もしこんな話題を扱って欲しいなどの要望があれば問い合わせよりご連絡ください。

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