この記事内ではホワイトニングを以下のような定義とします。
”ホワイトニング=歯の内部に効果を示し、本来の自分の歯よりも白くすること。”
よって元々の歯の色を取り戻すことに関しては、便宜上 ”ホワイトニング” として表現はしません。
【ホワイトニングの回数の目安】個人による差が非常に大きい
前半の記事をまだお読みで無い方はこちらからご覧ください。
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【ホワイトニングをする前に知っておくべきこと!①】これで全ての疑問が解決
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【オフィスホワイトニングの場合】
オフィスホワイトングの場合は、ホームのそれと比較して、薬剤の濃度も高い分、一度で白くなったことを自覚される方が多いです。
しかし、実際に満足を得るためには少なくとも2回、多くの場合で3〜4回かかることが多いので、その辺りが目安と考えておきましょう。
加齢による変化に対するものや、内因性のものでは回数が多くかかる傾向があるので、それ以上の回数がかかってきます。
【ホームホワイトニングの場合】海外製品は注意
厚生労働省による国内認可の薬品の基準では1日2時間を2週間連続で行うことが一つの目安となっていますので、それを基準にすると良いでしょう。
間隔を開けて行う場合などは当然2週間以上の期間が必要になってきます。
海外で使用されているものに関しては、オーバーナイトという就寝中に使用する方法や、より濃度の濃いものもありますが、海外の人と比較して歯質の薄い傾向にある日本人は、同じ基準で使用すると、知覚過敏などの不快症状などが強く出る可能性があるため、使用の際には注意が必要です。
薬液の濃度によって、使用時間が異なることにも注意が必要です。
【ホワイトニングの禁忌症と効果が薄い方】
ホワイトニングを絶対に行ってはいけない人、やめておいた良い人、効果が出にくい人などがいますので、それぞれについてみていきます。
【禁忌症など】無カタラーゼ症、妊婦、 その他
無カタラーゼ症の患者さんは過酸化水素の分解酵素を持っていないため、ホワイトニングの薬剤を使用することは全身に重篤な影響を与える可能性があるため絶対禁忌です。
また妊娠期や授乳期の女性についても、論文的に母体に影響を与えるという報告はありませんが、逆に安全性に関する報告もないため、避けた方が良いと考えられるでしょう。
その他に関して、オフィスホワイトニングなどの光源を用いるタイプは、光線過敏症やそれに付随する全身性エリテマトーデスの患者さんには禁忌ですので、ホームホワイトニングを選択するなどの配慮が必要になってきます。
【効果の薄い方とその対応策】高齢の方や、無髄歯、高度な石灰化を伴う場合など
【高齢者の方】
前述の通り、高齢者の方のエナメル質は若年者と比べると、薄くて硬いため薬液の浸透がなかなか起こりません。そのためホワイトニングの効果が現れるまでには比較的長い時間が必要になります。
対応→オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの併用(デュアルホワイトニング)
【無髄歯:神経をとった歯】
神経をとった場合の変色は歯の中心部から広がっていくものなので、表面に適応するホワイトニングでは薬液の効果が及ばず、満足のいく結果にならない場合が多いです。
対応→インターナルブリーチングという歯の内部から漂白を行う必要があります。
【テトラサイクリン歯】診断にも注意が必要
詳細は省きますが、テトラサイクリン歯の重症度判定にはファインマンの分類というものがあり、その重症度によってⅠ〜Ⅳ度に分けられます。
このうちⅠ〜Ⅱ程度であればホワイトニングでの対応が可能な場合もありますが、それ以上となると別の対応が必要となるでしょう。
さらに注意が必要なのは長期間にわたり薬剤を使用していたケースで、この場合は特徴的なバンド状ではなく、均一な黄色を呈することがあります。このあたりの診断のミスがあると、いくらホワイトニングを適応しても効果がないといった事態になるので注意が必要です。
対応→Ⅰ〜Ⅱ度:ホームとオフィスの併用(デュアルホワイトニング)、長期のホームホワイトニング
対応→Ⅲ度以上:オールセラミックやラミネートベニアなどの修復処置
【歯磨き粉にホワイトニング効果はある?】歯磨き粉もクリーニングも歯を白くはできない
よくCMなどで、歯磨き粉によるホワイトニングを宣伝しているものを見かけますが、厳密にいうとホワイトニングではありません。
歯磨き粉やクリーニングによって行えるのは外因性の着色の除去です。
つまり、歯の表面についているコーヒーや赤ワインなどの色素を落としてあげることで、自分の歯本来の白さを取り戻すことが目的となります。
なので、先ほどのホワイトニングの機序と比較してみてみると、外因性の表面的な汚れを落としているだけなので、内部のステインには全く変化はありません。
元々の歯以上の白さを求める場合には、内部の色素を除去してあげることが必要になりますから、フリーラジカルが関与をしなくてはなりません。
そうなると現状国内で認可されているものは、ホームまたはオフィスホワイトニングのみ。となります。
よって歯磨き粉では真の意味でのホワイトニングは行えません。
しかし、ホワイトニングをする際の薬液の効果的な浸透のためにも、外因性の着色を術前に除去してあげることは非常に重要なことです。
【白さを持続させるために】
せっかく白くなった歯。この白さを持続させるためにも気をつけなくてはならないことがたくさんありますので、それについてみていきます。
基本的な原理原則は、上図のように歯の内側と外側の着色がないことで、白さが維持されますから、そのことを念頭においてください。
【ホワイトニング直後は特に注意】やったことが台無しになる可能性も
普段歯の表面にはペリクルという薄い膜が張っています。テーブルが汚れないようにクロスを張っているようなイメージです。
ホワイトニングをした直後はこのペリクルがなくなっていて、酸に対する抵抗性が非常に弱いだけでなく、汚れが付きやすく落ちにくい状態になっています。
なので、少なくとも処置後24時間は酸性食品や、着色しやすい食べ物や飲料の摂取を控えるようにしましょう。
【表面が弱まっている今がチャンス】フッ化物の応用や、薬用歯磨き粉でのケアを!
ペリクルが存在しない、ホワイトニング直後はフッ化物を効率よく作用させるチャンスでもあります。
これにより歯質強化や再石灰化の促進のほかに知覚過敏の抑制効果も期待できます。
他にもCPP-ACP(カゼインホスホペプチド-非結晶性リン酸カルシウム)や薬用ハイドロキシアパタイト配合の歯磨剤にもエナメル質の微小欠損の回復や、再石灰化作用があるのでお勧めです。
一部表現として、ホワイトニングという言葉が使われていますが、これはあくまで歯の表面をきれいにするという意味でのホワイトニングなので注意してください。
☆【注意喚起】セルフホワイトニングの嘘と真実☆
ホワイトニングの需要の増加から、安価で施術を行えるホワイトニング専門のサロン(セルフホワイトニング)が数多く見られるようになってきました。
果たしてホワイトニングの効果は本当にあるのでしょうか??
【医療行為をできるのは歯科医師か歯科衛生士】口の中を触ることも過酸化水素を使うのも医療行為。
ホワイトニング専門のサロンには基本的に資格を持っている人はいませんので、薬剤の塗布などの全ての過程を自分自身で行う必要があります。
患者さんの口腔内に触れらるのは歯科医師や、歯科衛生士などの国家資格を持つ者に認められる行為だからです。
そのため、医療法の広告規制の観点からも、HPなどに”セルフ”という文言をつけておかないと法律違反の可能性が出てきます。
ここまで読んでいただいた方は理解されていると思いますが、歯を内部から白くするフリーラジカルが必要です。これを発生させるための過酸化水素の使用も医療行為となるため、ホワイトングサロンでは使用ができません。
よってホワイトニングサロンで使用しているのは重曹などの市販品レベルの歯の表面の汚れを落とすための材料になります。
歯科医院で使われる照射用のライトも医療機器になるので、有資格者のみが使用できます。使用されているのは一般使用をしても問題の少ない出力の小さいものになります。
【真の意味でのホワイトングではない】行っているのは歯の表面のステインの除去
歯磨きによるホワイトニングと、歯科医院でのホワイトニングでの作用の違いでも説明した通り、歯の外側か内側のどちらのステインを除去するかで、その意味合いが異なってきます。
ホワイトングサロンで行っているのは前者であり、歯の表面の汚れを落としています。
そのことを示す代表的なものとして、以下のようなQ&Aがあります。

とあるホワイトニングサロンから抜粋したQ&A
既出の通り、人工的なものはホワイトニングを行うことはできません。
どのような白さを求めるかにもよりますが、その言葉の解釈には注意が必要ですし、専門的なアドバイスを受けるためにも、全て自分で行うセルフホワイトングサロンではなく、歯科医院を利用していただきたいと思います。
まとめ
かなりの長文になってしまいましたが、ホワイトニングの大体のことを網羅できたかなと思います。
ホワイトングについてなんとなくご理解いただけたでしょうか?
ホワイトニングに限らず、全ての医療行為に大事なことは診査・診断です。
自分の歯を白くする上で、そのゴールはどこなのか、それに対する必要な処置はなんなのか。そう言ったことを考えてホワイトニングをしていく必要があります。
手軽さを求めて、その診査診断なしに、海外製品を自己流で使用したり、ホワイトニングサロンでなんちゃってホワイトニングを受けることは全くお勧めできません。
かかりつけの先生や衛生士さんとよく相談をして適切なホワイトングを受けるようにしてください。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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