笑った際に歯茎が見えてしまう。。。
これを気にされている方は結構いらっしゃると思います。
今日はその診断と、治療法などについて詳しくみていきたいと思います。
【ガミースマイルの定義・頻度・男女差】どれくらい歯茎が見えたらガミースマイル?
笑った時に見える歯茎はどれくらいが普通で、どこからが異常となるのでしょうか?
論文的には2〜3mm以上の歯肉の露出を伴うと、ガミースマイルとしてみなされます。
1984年のTjanらの研究によれば、歯冠が75~100%見えているものを”Average Gingival smile line”とし、100%以上見えているものを”High Gingival smile line”、75%未満のものを"Low Gingival smile line"としました。

Tjan AH, Miller GD, The JG. Some esthetic factors in a smile. J Prosthet Dent 1984:51(1):24-28より改編,転載
よって、頻度としては大体10%前後の確率で生じるとされています。
これを男女別に見てみると、女性で14%、男性で7%というような数値が報告されています。
女性の方が2倍生じやすいことがわかっています。
【ガミースマイルの原因】色々あるけど頻度が最も高いのは、、、
ガミースマイルになる理由にはいくつかあって、その原因によって治療法も異なってきます。
その原因とは以下の7つが挙げられています。

Diagnosing and treatment planning inadequate tooth display F.Spear BRITISH DENTAL JOURNAL | VOLUME 221 NO. 8 | OCTOBER 21 2016 より改編,転載
このうち、臨床的に一番多いと感じるのは一番下のAltered passive eruptionで、日本語で受動的萌出不全という歯茎が歯に覆いかぶさっている状態です。
あくまで個人的な見解であって、どの原因が一番多いかというのは論文的に調べることができませんでした。
一概にガミースマイルと言われる状態でも、これだけ原因がたくさんあるので、当然どれに該当するかしっかりと診断を行なっていく必要があります。
それぞれの診断方法を挙げるとかなり長くなってきてしまうので、今回は割愛します。
それでは診断がついたとして、その後どんな治療を行っていくのか見ていきましょう。
【ガミースマイルの治療方法】歯周外科・矯正・大規模外科処置
診断が決まることで治療法が決定していきます。
ある論文において、以下のようなフローチャートで治療法が紹介されています。

Carmago PM et al J Calif Dent Assoc 2007;35(7):487—498 より改編引用
厳密に言うとこれ以外にも治療法はあるのですが、個人的にもっと多いと思っている受動的萌出不全と、過剰な口唇の動きに関して細かく見ていきます。
【①受動的萌出不全】角化歯肉幅と骨の位置で分類
受動的放出不全の中にも4種類のパターンがあります。それが以下の通り。

Altered passive eruption (APE): A little-known clinical situation Francisco Alpiste-Illueca Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2011 Jan 1;16 (1):e100-4. より転載
上記の通り、歯槽骨とCEJの位置関係、角化歯肉幅(MGJの位置)によって4種類に分けられます。
それでは実際の処置を見ていきましょう。
【実際のオペ写真】Type1Bの治療法
患者さんは若い女性で、スマイル時に歯茎が見えることに不満を持ちご来院されました。
種々の診査を行うと、先ほどの分類でいうType1Bに該当することがわかりました。よって処置の方法は歯肉切除と骨切除になります。

左:術前の状態 中央:骨切除の口腔内 右:縫合後
事前に患者さんと確認をした上でステントを作成し、歯牙のCEJと相似形となるように骨切除を行っていき、後は縫合です。
と、まあこんな感じでフィニッシュです。仕上がりに患者さんも満足していただけました。
【リップリポジショニング】上唇の過剰運動性
Spearによれば、
My conclusion is that the average patient has between 6–8 mm of movement from their resting lip position to the highest position the lip moves in a spontaneous smile.
私の結論は、平均的な患者さんは、安静時の唇の位置から自発的な笑顔で唇が最も動く位置まで、6~8mm動くということである。
としており、上唇の動きがそれ以上になり、歯肉の露出が認められる場合は上唇の過剰運動性ということになり、リップリポジショニングの適応になってきます。
ちょっと僕は症例を持っていないので、論文をもとにどんな処置が行われているか見ていきます。

左:安静時の状態 中央:スマイル時の歯茎の露出 右:切除を行う部分

左:切除後の状態 中央:縫合時の状態 右:術後
とまぁこんな感じで口唇の可動性を改善することで、スマイル時の歯肉の露出量を改善することができます。
術後に起こりうる不快事項は術後の疼痛、あざ、腫脹、ツッパリ感があるようですが、数週間で消えてくれるみたいです。
【ガミーフェイスは治せる!】最後に
ということでガミースマイルに関して、その分類、原因、治療法に関して見てきました。
明らかな上顎の過成長などの治療法は触れることはできませんでしたが、多くのガミーフェイスは比較的容易に治療することができます。
もし、ガミーフェイスの治療でお悩みの患者さん、歯科医師の方がいたら一緒にディスカッションしましょう!!
今日も最後までご覧いただきありがとうございました。