今根面被覆の界隈でものすごい勢いで評価を上げているDr.Lorenzo Tavelliをご存知でしょうか?
どれだけ論文を出しているかっていうのを調べるexpaertscapeっていうサイトがあるんですが、"Gingival recession"というワードで、
あのDr.Hom-Lay WangやDr.Cairo、Dr.Cortelliniなどを抑えて圧倒的一位になっているのがDr.Lorenzo Tavelliなのです。

expaertscapeで一位となっているDr.Lorenzo Tavelli
この素晴らしい先生を僕らが運営しているTHREEEというグループで招聘させてもらい、その際彼に褒めていただいた症例をその論文とともに紹介させていただきます。
【どんな論文?】CAFとTunnel techniqueを併用した新しい術式
Tunnel Techniqueは移植片やフラップの血流を改善した上、審美的な結果を得ることができ、患者の不快感を大幅に低減できる手法であることが示唆されている一方、
CAFと比較して、術中のアクセスの困難さや移植片の安定性に制限があることが報告されています。
それぞれの長所を組み合わせた手法として、特にRT2に有効であるということが言及されています。

論文中の術中と術前の症例写真。41の遠心の乳頭が下がってしまっている。
メリットが多そうなTCAFですが、論文中の症例写真を見ると、CAFの切開を行った41の遠心部の乳頭が下がっているように思えます。(31,41間をトンネルで行っている)
個人的な見解ですが、このケースのようにトライアングルに近いような歯牙で、乳頭が比較的長くなるような場合、切開を加えると術後の退縮を拾ってしまうのかなという気がします。
【実際の症例】23の単独の歯肉退縮のケース
それでは実際の症例を見ていきましょう。
患者さんは30代の女性で、画像の通りかなり歯肉が薄い患者さんでした。
23近心部にはブラックトライアングルも認められます。
切開線としては写真の通り、23の遠心部に縦切開を用いたCAF。近心部にトンネル形成を行いました。
論文のケースとは異なり、CAFを行う部位の乳頭の高さは比較的低いので、術後の乳頭の退縮は起きにくいと判断しました。
十分な減張を得ていることを確認し、口蓋からCTGを採取後、歯根面にCTGを固定し、カバーフラップを戻しました。
術前と術後1年半の比較写真です。
術前に認められた23近心のブラックトライアングルもわずかに改善しているように思えます。
【L.Tabelliから褒められた!?】まとめ
このケースは論文が出される前に自分でも考えていた方法で、術後経過も1年以上終えていたので、
THREEEの勉強会の時にSNSにアップしたところ、連絡をもらいました。
ということで、CAFとTunnel techniqueの長所を組み合わせたこの方法は、患者負担も少なく、臨床的な成績も非常に良いものだと思っています。
ケースとしてはまだまだ少ないので、今後も経過を見つつ、新たな知見をお伝えできればと思います。
なお、このケースはYoutubeでオペ動画も公開しておりますので、こちらも併せてご覧になってください。
今日も最後までご覧いただきありがとうございました。