インプラント 予防歯科 一般の方向けの記事

【予防が大事】インプラントの時期をいかに遅らせることができるか。

 

注意

このブログの内容は客観的事実に基づき執筆しておりますが、特定の医療行為、手技、手法を推奨するものではありません。

残念ながら医療行為に100%の成功はあり得ません。時に患者様の不利益に繋がることもあります。しかしその可能性を極力低くするための努力はできます。

論文などからの知識のアップデート、長期経過からのフィードバックを得て、患者利益の最大化に努めるべきです。その一助としてこのサイトを活用していただければと思います。

なお、全ての臨床写真は患者様の掲載許可をいただいた上で掲載を行なっております。

 

 

 

✔︎ 本記事の信頼性

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【インプラントの選択は慎重に】

今勤務している医院ではほぼ毎日インプラントのオペがあります。

 

インプラントも長期予後が報告され始めているとはいえ、その選択は慎重に行い、患者さんの利益が最大化される場合のみ応用されるべきです。

 

ちなみに今の現状でよく引用される論文の解説をしているので、興味のある方は是非ご覧になってください。

こちらもぜひ
【インプラントはどれくらいもつの?】インプラントの予後を考える。

続きを見る

 

 

当医院においても厳格な診査診断のもとその判断を行なっています。

 

特に重度の歯周病患者さんの場合、インプラント周囲炎の罹患率も高い傾向があると言われており、その応用はより慎重に検討されるべきです。

インプラントはしないに越したことはないし、自分の歯に勝るマテリアルなんて存在しません。

 

と言うことで結果的に行き着くのは、歯があるうちにしっかり予防対策を行なって自分の歯を大事にしましょうってことになります。

 

 

【遅ければ遅いほどいい】インプラントの喪失予測

しかし、インプラントが欠損補綴において有効であることも事実であり、患者さんにはものすごいQOLの向上をもたらしてくれる可能性があります。

 

また余計な歯牙(特にエナメル質)の切削を避けられるといった利点もあります。

 

【今日の論文】To save or to extract, that is the question. Natural teeth or dental implants in periodontitis- susceptible patients: clinical decision-making and treatment strategies exemplified with patient case presentations Dan Lundgrenらの著, Periodontology 2000, Vol. 47, 2008, 27–50

 

今回紹介する論文は冒頭のとおり、いかにインプラントの時期を遅らせることが重要か。

 

と言うことを述べた論文です。

 

重度歯周病患者さんはインプラント周囲炎に罹患しやすいと言われています。

そこで、インプラント周囲炎の進行スピードを歯周病進行のスピードと同等と仮定し、いかに遅い時期にインプラント埋入することが重要か述べています。

 

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To save or to extract, that is the question. Natural teeth or dental implants in periodontitis- susceptible patients: clinical decision-making and treatment strategies exemplified with patient case presentations Dan Lundgren et al, Periodontology 2000, Vol. 47, 2008, 27–50より出典

 

突っ込みどころは色々あると思うんですが、伝えたいことはめちゃくちゃ核心をついていると思います。

 

上図は適切な歯周病治療を受けていない人が歯牙喪失をして、その部位にインプラントをしました。って言う仮定で話が進んでいます。

 

ある歯を40歳で失い、その部位をインプラントにしました。するとそのインプラントは70歳前くらいで喪失する可能性が高いだろう(緑の破線)。っていうのを表しています。30年も持たない気もしますが。。。

 

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To save or to extract, that is the question. Natural teeth or dental implants in periodontitis- susceptible patients: clinical decision-making and treatment strategies exemplified with patient case presentations Dan Lundgren et al, Periodontology 2000, Vol. 47, 2008, 27–50より出典

 

一方で、まーまーな歯周病治療を受けた場合と、すごくいい歯周病治療を受けた場合の歯周病の進行状況っていうのもあります。

 

30歳から歯周病治療を受け始めました。と言う仮定。すでに支持歯槽骨の破壊は30%弱進んでいます。

 

効果的な処置を継続的に受け、良い歯周環境をキープできれば、骨喪失は生理的範囲内に収められ、生涯インプラントを必要としない生活が送れます。

 

しかし、Moderately程度だと、歯牙喪失の回避ができず、何らかの補綴処理などの対応が必要となります。

 

しかしその場合、その時点でインプラントを挿れたとしても、Moderatelyな処置を継続的に受けることで、生涯を終えるまでにインプラントの喪失というのは回避できる可能性が高そうです。

 

 

【ここから学ぶべきこと】やっぱり予防が大事

この仮定の話でのポイントは、

①適切な治療(予防処置)を受けないと早期に多くの歯牙を喪失する可能性が高いこと。

②適切な治療を受けることでその進行を抑えることができる。

 

ということです。

 

2つ目のグラフで出ているのは30歳で歯の大事さに気づいて治療を受け始めたっていう人のシミュレーションですが、これは全然まだいいほうです。

 

40歳でそのケアを始めたとしたら、すでに歯槽骨のサポートは50%も喪失しています。

 

となると、スタートラインがかなり悪いので、歯牙喪失のリスクはさらに上がることになります。

 

よっていかに早い段階から歯周治療を受けなくてはならないかと言うことでもあるし、Moderatelyよりも、Efficientな医院で治療を受けることが重要になります。

 

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まとめ

 

インプラントはその防御機構の違いから、一度インプラント周囲炎が始まると、その進行は天然歯よりも早く進んでいきます。

 

またその進行を抑えるためのアプローチも、確立されたものはありません。

 

よっていかにインプラントに頼らない状況を作れるかが重要になってきます。

 

清潔な口腔内環境を維持することを一義に考え、いかに天然歯を保存できるか。

 

不幸にしてインプラントが必要になった場合でもその長期的な生存可能性を高い状態に保つ。

 

その努力が、患者さん、歯科医療従事者側の両者に求められるんだなと考えさせられる論文でした。

 

良いメインテナンスが受けられる歯医者さんの選び方を紹介してますのでもし宜しければこちらも併せてお読みください。

 

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今日も最後までお読みいただきありがとうございます。

  • この記事を書いた人

Dr.H

岩手県花巻市の成田歯科医院で歯科医師をしてます。論文をベースに臨床に役立つ情報を紹介するブログ。一般の患者さんの悩みに答えられるような内容もあげていきます。もしこんな話題を扱って欲しいなどの要望があれば問い合わせよりご連絡ください。

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