セラミック修復 歯科医療従事者向け

セラミック修復の形成② 【Dr. Marco Venezianiの論文から】

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前回に引き続き、今回もセラミック修復についてです。代表的な2本の論文のうちのもう一方です。

前半はこちらから

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セラミック修復の形成① 【Dr. Federico Ferrarisの論文から】

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【今日の論文】"Posterior indirect adhesive restorations: updated indications and the Morphology Driven Preparation Technique" Marco Venezianiの論文 Int J Esthet Dent . 2017;12(2):204-230.

 

こちらも同じくイタリアのヴィゴルツォーネというところで開業されているDr. Marco Venezianiの2017年の論文です。

 

前回のPAIRに続き、Morphology Driven Preparation Technique(MDPT:形態模倣形成テクニック)として、新たな接着修復を提案しています。

 

形成デザインなどは前回の論文とほぼほぼ同じことを言ってるので、復習になるかなと思います。

 

この論文内で特に強調されて言われていることは”エナメル質の接着”です。

 

接着において、そのクオリティがはっきりしない象牙質と比較して、エナメル質の接着はこれまでに多くの研究から、その安定性が支持されています。

 

そのエナメル質との接着をより質の高いものにするためにはどういう形成デザインが求められるのか。

 

そう言った目でこの論文を読んでいただくといいかなと思います。

 

んで、論文的には間接法のCRも費用によってはOKってなってるんですけど、個人的には全てe-maxの方がいいと思ってます。

 

【これだけは守ろう】5つの原理原則

①カリエス除去後に残存する歯質の厚みは生活歯で2mm以上、失活歯で3mm以上なくてはならない。

 

②(間接修復なので)頬舌側間のイスムスは2mm以上ないといけない(逆に言うとこれ以下であれば直接修復の適応)

 

③辺縁隆線の有無、もしない場合はその結果として3つの空間平面で構成される隣接部のボックスを形成する。

 

④咬頭を覆う材料の厚さは、コンポジットと二ケイ酸リチウム(プレスまたはCAD/CAM)では1~1.5mm以上、長石質セラミックとリューサイト強化ガラスセラミックでは2~2.5mm以上でなければならない。

 

⑤歯間オーバージェットは2mm以下でなければならない。オーバージェットが大きすぎると、修復した辺縁部の破折リスクが高まる。(これは歯質の裏打ちがないと斜めの応力がかかって、この方向の力に対する抵抗にe-maxは弱い。)

 

 

【上顎と下顎で異なる?】実際の形成デザイン

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ポイントを三つくらいに分けると、まず、咬合面のリダクションは、解剖学的な形態に則って形成をすることです。水平ではなく、咬頭の内斜面の角度などを意識して削除を行っていきます。(図の青の部分)

 

2つ目はカリエス除去の結果残った歯質がmaximum contour line(最大豊隆部)より歯冠側にあるか、根尖側になったか。です。

 

その位置よりも歯冠側にフィニッシュラインを設定できるなら、その形態はシャンファー(図の緑色のライン)になるし、

 

根尖側に位置するのであれば、1.2~1.5mm程度のバットジョイント(黄色のライン)になります。

 

そして3つ目は軸面の角度で、これは6~10°となるように意識して形成を行っていきます。

 

2番目のポイントである、最大豊隆部より上か下かって言うのが、この形成の一番のポイントであると思っています。

 

論文内に

幾何学的、構造的な理由から、この現象(注:シャンファー形成が必要な部位のこと)は上顎臼歯と小臼歯の頬側と口蓋側の壁、下顎臼歯と小臼歯の頬側の壁のレベルでより頻繁に起こる。

との記載があります。皆様以下の以前に挙げた記事はお読みになっていただけたでしょうか?

 

【もう一度学ぼう】歯牙それぞれの解剖学的特徴:小臼歯編

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【もう一度学ぼう】歯牙それぞれの解剖学的特徴:下顎大臼歯編

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【もう一度学ぼう】歯牙それぞれの解剖学的特徴:上顎大臼歯編

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これらを振り返ってみるとわかるんですが、上顎の臼歯部は最大豊隆部が頬舌側ともに歯頸部付近に存在しています。

 

一方で、下顎の臼歯群は頬側の最大豊隆部は歯頸部付近にありますが、舌側は頬側に比べて歯冠側にあることがわかります。

 

そのため、同じような歯質の喪失が起こったとしても、例えば下顎の小臼歯であれば、舌側はすぐに最大豊隆部より根尖則に形成範囲が及んでしまうため、バットジョイントになることが多いということになります。

 

【フィニッシュラインの選択】なぜシャンファー?、なぜバットジョイント?

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改めて、この低侵襲の形成が生まれた背景は、エナメル質との確実な接着が可能になったためです。

 

そしてこの接着をより強固なものにするためのフィニッシュラインの形成方法が先ほど紹介したものになります。

 

エナメル質をさらに細分化して考えると、小柱構造(enamel prisms)になっています。その方向は上図のようになっており、歯髄から放射状に広がっているような走行をしています。

 

以下の論文から接着をする際はこの小柱に対し、垂直方向に接着(小柱断面と接着)した方がより強固な構造となり、水平は垂直のものと比較して、接着強さが劣ることがわかっています。

そのため、エナメル質の厚みがしっかりある最大豊隆部より歯冠側では、小柱の断面を出すためにラウンドショルダーにします。

 

一方で、最大豊隆部より根尖側にフィニッシュラインが来てしまった場合、エナメル質は徐々に薄くなってきてしまいます。

 

そのため小柱断面を出そうとして、ラウンドショルダーの形態を与えてしまうとエナメル質がなくなり、象牙質が露出してしまう可能性があります。

 

そのためジレンマにはなるのですが、エナメル質と接着することが優先順位が高いので、接着はエナメル小柱と平行になったとしてもバットジョイントにして、エナメル質との接着を達成します。

 

このような歯牙の持つエナメル質の構造の違いから、フィニッシュラインの形態が選択されています。

 

【まとめ】前回の論文との違いなど。

2回にわたり、最近のオーバーレイとか、テーブルトップ形成の論文を見ていきました。

 

フィニッシュラインに関して、前回の論文ではバットジョイントが最も推奨されていました。

 

しかし今回の論文ではそれに追加して、エナメル小柱断面を露出させるためのラウンドショルダーが追加されています。

 

こういった細かな違いが実際にはあるんですが、原則はエナメル質との接着であり、これを遵守しつつ、審美的要求があるのか、バイト的に厚みを確保しないといけない咬合なのか、、、など、患者さん固有の要素に合わせて、適合させていけばそんなに迷うことはないんじゃないかと思います。

 

冒頭の写真のように、しっかりと防湿した上で確実な接着操作を行うことで、かなり予知性の高い修復治療になると思います。

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございます。

  • この記事を書いた人

Dr.H

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